5月16日(日) ニューヨーク日記7(5月5日)

 ダンキンドーナッツの朝食を食べてから、午前中、自宅の引越し作業の最後の詰めを行った。目処はつけてあったので、予定通り終わり、絵の梱包を、近所のフレーム屋に頼んでから、大学に向かった。

 途中、6番街にある時計塔の市立図書館を見学した。

 この日は、研究所長のL氏と、ソーホーにあるマーサー・キッチンという有名なレストランで、ランチをする約束をしていた。

 マーサー・キッチンは、マーサー・ホテルの地階にあり、俳優のデカプリオもお気に入りだそうである。味は日本人好みで、とても美味しく食べられた。

 話題は、普天間問題やら、源泉税の話から、“もったいない”という感覚についてまで、多岐にわたった。

 夫との会話は英語で、英語で話す時は、ゆっくり話してくれたので、何とか理解することが出来た。彼は日本語も解るので、私からの質問は日本語で、それに対しては、日本語で答えてくれた。

 楽しいランチの後は、West 4th St駅から、地下鉄D線に乗って、終点のConey Islandに行った。果てしなく続く白浜の美しさと、それと並行して作られたウッドデッキの歩道は、何とも言えずお洒落で、かつ、機能的でもあった。

 帰りは、二駅歩いて、地下鉄Q線のOcean Parkwayからユニオン・スクエア、L線に乗り換えて、6番街まで戻って来た。

 ユニオン・スクエア駅のホームに入る直前、並走する地下鉄の車窓から、ハイスクールの女子生徒がこちらの電車に向かって、手を振っているのが見えた。

 はじけていて、かわいかったので、手を振り返してあげたら、ますます喜んで、手を大きく振り返してきた。

 ユニオン・スクエア駅に着いて、隣のホームを見ると、ちょうど向かいあたりに、彼女たちの姿が見えた。近寄って、ホームから窓越しに、手を振ってあげると、はちきれんばかりに喜んでいた。

 箸が転げても可笑しい年頃なのだろう。私も同様である(笑)

 5時を少し回ってしまったが、アパートの大家さんから、“敷金”のチェックを受け取るために、事務所に寄った。結局は、まだ出来ておらず(このあたりがアメリカ)、明日出直すことになった。

 夫が大家さんを待つ間、私たちの部屋を見たいという不動産業者が事務所に来たので、私が同伴することになった。

 東洋系の顔をした若い男性だったが、話しかけられ、私は英語は話せません、と答えると、問題ありません、私も、こんにちはしか話せません、と言ってくれたので、俄然元気になって、東京から来たこと、1年間に4回もニューヨークに来てしまったこと、ニューヨークが好きになったこと、部屋から見るエンピア・ステートビルが最高であることなど、とりとめもないおしゃべりをした。

 お客さんはアパートの入口で待っていた。二人連れだったので、あの部屋では、ちょっと手狭かなと思っていたら、やはり、同じように感じたようであった。

 不動産屋さんとお客さんが帰ってから程なくして、夫が帰宅した。

 考えたら、アメリカで見知らぬ男性と二人でアパートに行ったことが心配になった、と言っていたが、確かに、危なかったかもしれない・・・

 シャワーを浴びて、夕飯の買い出しをして、昨日出した絵を受け取り、地下鉄D線に乗って72St.で降りた。そこから、62丁目のリンカーンセンターまで歩き、オペラ「トスカ」を観た。

 二度目のオペラということもあって、落ち着いて楽しめた。大晦日と違って、前から6列目の席だったのも良かった。

 帰りは、暖かかったので、コロンバス・サークルまで歩き、タイム・ワーナービルを見学して、地下鉄1線で自宅に戻った。