5月15日(土) ニューヨーク日記6(5月4日)

 この日は午前中、自宅の引越し作業の目処をつけた。明日、半日時間を取れば、明後日の荷物出しには間に合うはずだ。

 午後1時に自宅を出て、地下鉄2線で72St.まで行った。地上に上がると、目の前がアンソニア・アパートである。

 アンソニア・アパートの前に、アクセサリーの露店が出ていて、通り過ぎようとしたら、「これ、似合うんじゃない?」と、夫があるピアスを指さした。

 私も一目ぼれして、買う事にした。一つだと1,000円、二つなら1,500円というので、もう一つ選んだ。

 この露天商の主は、1年だけ三沢基地に勤務していたことがあるそうで、片言の日本語を話した。

 アンソニア・アパートは、今では高級分譲マンションだが、1903年に建てられた、もともとは、大富豪の長期滞在用ホテルだったようだ。大リーガーのベーブ・ルースも、かつてはこのホテルの住人だった。ロビーには、ベーブ・ルースの手紙などが展示されていた。

 私たち夫婦は、不動産巡りが嫌いではないので、賃貸希望という事にして、部屋を見せてもらうことにした。

 廊下には、高級絨毯が敷き詰められており、さすがはホテルという感じがしたが、古いだけあって、居住性には問題がありそうである。いわゆるワンルームのこの部屋の賃料は、$2,000であった。

 売り物件もあり、1時間後には内覧出来るということだったので、その間に、セントラルパークを散歩することにした。

 ウエスト側にいたので、THE LAKEの周りを散歩した。池越しに見るサンレモのツインタワーは、自宅に飾ってある絵そのものであった。

 1時間経って、アンソニア・アパートに戻り、先ほどの女性営業マンを呼び出し、売り物件を見せてもらった。1LDKで$550,000。リフォームも必要なので、日本の感覚だと、それに1千万はかかりそうであった。

 お遊びはこれ位にして、今日のメインのメトロポリタン美術館に向かった。美術館に着いたのは午後3時半だった。

メトロポリタン美術館の入館料は、$20と書いてあるが、よく見ると、実はドネーションなので、$20払わなくても入ることができる。私たちは、すでに何度か足を運んでいるが、ドネーションのことを知ってはいても、何となく$20払っていた。

今回は、特別展を観るだけという事で、初めてドネーションで、一人$10で入館した。

お昼がまだだったので、まずは、5階のルーフ・カフェに行った。このルーフ・カフェは、実はガイドブックでも紹介されているのだが、あまり目に入っていなかった。

 この冬、映画「ニューヨーク・アイ・ラヴ・ユー」を観に行った際に購入したパンフレットに、コメディアンの小堺一機さんが、ニューヨークに行った際、必ず立ち寄る場所という事で紹介してあったので、是非、夫と行ってみたいと思っていた。

 行ってみれば、カフェと言っても、スタンドで買って、ベンチで食べるというだけのことであった。しかし、その景色、つまり、セントラルパークの緑を下に見て、その緑越しに見るマンハッタンの高層ビル群は、“感動!”の一言に尽きる。

 食べ終えたころ、にわか雨が降ってきたので、館内に入り、「ピカソ展」を観た。

 メトロポリタン美術館所蔵のピカソ300点が、一挙に公開されていた。記念に絵葉書を購入し、ゴッホゴーギャンルノアール、モネ、フェルメールなどを観た。

 フェルメールは少し離れた場所に展示されているので、今まで見損なっていた。売店で、日本人のおばさんに、フェルメールの場所を訪ねられて、私たちも見て帰ろうということになった。

 午後6時頃、14丁目まで戻って来て、まず自転車屋さんで、昨日分解梱包を頼んだ自転車を、受け取った。

 その後、フレーム店に、絵の梱包を頼みに行った。

 夕飯は自宅で取り、今日も一日が無事終わった。