5月2日(木) 軽井沢滞在記2

 今日は軽井沢二日目の日記である。
4月30日(火)
 目覚まし時計を6時半に掛けていたが、鳴る少し前に目が覚めた。外は明るく、鳥の鳴き声も聞こえていたが、少し雨が降っていた。

 布団の中でごろごろしているうちに、幸いにも雨は止んだ。早速起きて、身支度を整え、夫と二人で朝食を食べた。娘は朝寝坊中である。

 “J”をバリケンから出して、朝食を食べさせ、朝の散歩に出掛けた。キリンの公園までの往復30分程度を予定していたが、思いの外寄り道をした。

 一つ目は、キリンの公園を過ぎて、少し先まで足を延ばしたら、もうひとつの公園を見つけた。都合のいい事に、地形がすり鉢状になっており、朝早くて人影もなかったので、リードを外して遊ばせた。

呼び戻しや、かくれんぼ。鬼はいつも“J”である。また、滑り台があったので、階段を上らせ、抱きかかえて滑ってもみた。

 二つ目は、散歩途中の貸別荘屋さんで飼っている、“R”と言う3歳のゴールデンレトリーバーの女の子とお友達になり、テニスコートで遊ばせてもらった。ここから娘が合流した。

 若い者同士気が合うのか、手加減を知らないのか、レスリングのような遊びを始めたので、少しはらはらしてしまった。都会にはいないタイプのゴールデンレトリーバーとの出会いは、“J”の野生の部分を垣間見る事になった。

 三つ目は、キリンの公園。娘が“J”を抱っこして、シーソー遊びもした。“J”はニコニコご満悦顔だった。

四つ目は、近所の“T”さん宅で、やはりゴールデンレトリーバーの“D”とシベリアンハスキーの“R”と言う、年上の男の子たちと遊ばせてもらった。

 “R”ちゃんの時とは打って変わって、“J”は大人しく、2頭の後について色々な事を真似していた。投げられたボールを拾ってきたり、斜面を駈け上がったり下りたりと。他の犬と交流することで、“J”は学習しているようだった。

 最後は自宅の下を流れる小川での水遊び。“J”は水を舐める程度で拍子抜けだった。この日の様子からは、とても翌日の“J”を想像することは出来なかった。

自宅に戻ったら、2時間半が経っていた。“J”をバリケンに入れて少しお昼寝をさせた。その間に、不燃ごみをまとめて管理事務所に捨てに行って、お昼も済ませた。

 そしていよいよ午後のお散歩である。夫と娘と三人で、午前中と同じコースを歩いて、彼のすり鉢の公園まで順調にたどり着いた。

 午前中、私が“J”と滑り台を楽しんだ事を羨ましく思った娘が、どうしても“J”と滑りたがっていた。

 階段を上らせて、いざ滑ろうという段になって、娘は私の時のように“J”を抱きかかえないで、自分が先導して滑ろうとした。

 “J”も大人しく後に続いたかのように思った次の瞬間、アクシデントは起こった。“J”が空を飛んだ!

 一瞬何が起こったのか理解出来なかったが、滑り台の近くにいた私は、とっさに“J”をキャッチしようと手が出た。が、届かず、“J”は前足から地面に着地した。

 駈けつけて“J”の足を点検したが、痛がる様子も無く、奇跡的に無事だった。三回転こそしなかったが、まるで「にゃん ぱらりっ」だった。(いなかっぺ大将ニャンコ先生の掛け声、分かります?)

 少し離れたところで一部始終を見ていた夫は、この辺りの動物病院が何処にあるか、を考えたそうである。

 “J”自身は、少し興奮はしていたようだが、一通り撫でられてから立ち上がり、驚いた事には、滑り台の階段を上ろうとした。見上げた根性である。少し足ががくがくしているように見えたのは気のせいか。

 帰りも難なく歩いた。途中ゴールデンレトリーバー、ラブラトールレトリーバー、ダルメシアンを連れた、大型犬のお散歩団体と出会って少し話をした。

 別れ際、午前中遊ばせてもらった“T”さんが、遠くから手を振っているのが見えた。近くまで行くと、“T”さんはお友達の“S”さんと歓談中であった。

 私たちも紹介してもらい、色々話しているうちに、近所の“H”さんの話が出た。私は“J”の相手をしながら聞いていたので、その時はピンとこなかったのだが、家に戻って、夫から詳細を聞けば、“H”さんと言うのは、私が大学の研究室に勤務していた時に、非常勤講師でみえていた先生だった。

 丸16年、毎年来ていても、全く知らなかった。こんな偶然があるものだ、と驚いてしまった次第である。