5月17日(日) 初めて一人で観た映画

 昨日は、朝からどんよりとした曇り空で、いつ雨が降ってもおかしくない空模様だった。それだけでも、せっかくのお休みなのに損をした感じになると言うのに、朝一番で定期検診(妊婦検診ではありません。念のため。でも、可能性はまだあります・・・)の予約を取っていたので、8時には家を出た。

 病院に行って帰って来るだけではつまらなすぎるが、時間がどの位かかるか分からないので、友達と約束するのもね〜と思い、今日は一人で映画を観て、ショッピングをして帰ろう、と決めた。

 朝一番だったこともあって、土曜日だというのにほとんど待たされる事もなく、10時にはフリーになった。観たい映画は決めてあったが、近くのお台場で観るか、ショッピングをする銀座に移動して観るか、少し迷った。

 結局11時からお台場のシネマメディアージュで観ることにした。観る映画は「スラムドッグ$ミリオネア」である。一人で映画を観るのも初めてなら、シネマメディアージュも初めてである。

 インドのスラム出身の18歳の少年ジャマールは、インドで大人気の「クイズ$ミリオネア」に出演し、あと1問で番組史上最高の賞金を獲得できるところまで勝ち抜くが、これを快しとしない番組のホストにより、警察に通報され、詐欺容疑で逮捕されてしまう。ジャマールは警察で拷問を受けるが、無学の自分が正答を知ることに至った過去を話し始める。そこには、ジャマールと兄サリーム、そして、ジャマールが思い続けたラティカとの、切なくもドラマティックな物語があったのである。

 2008年度のアカデミー賞8部門を受賞しただけあって、作品の内容は勿論だが、ダニー・ボイル監督のこだわりで、フィルム撮影でなく、小回りのきくデジタル撮影を用いたため、劇場にいながら、インドのスラム街を駆け抜けたような錯覚に陥った。

 私はインドに行ったことはないが、パンフレットにインド人のチャダが「描かれている事全てが“本当”であるという事です。・・・今のリアルなインドを知る事ができます。」と書いているので、そうなのだろう。結末がハッピーエンドだったのでホッとした。

 作品の出来とは直接関係ないのだが、「クイズ$ミリオネア」の発祥の地がイギリスで、「Who Wants to Be a Millionaire?」という番組名である事や、現在までに80カ国以上で放送されている人気番組である事を、初めて知った。

 私はてっきり、みのもんたが司会を務めたフジテレビの「クイズ$ミリオネア」がオリジナルだとばかり思っていた。みのもんたが最後に解答者に迫る「ファイナルアンサー?」は、当時、流行語にもなった。今から思えば、他のクイズ番組と比べ、垢ぬけていて、極めてショー的要素が強く、輸入ものであったことは一目瞭然だが、知らないという事は恐ろしい。

 映画の冒頭で、「彼がなぜミリオネアになれたのか?」というクイズが出題され、A/インチキだった B/ついていた C/天才だった D/運命だった という四つの選択肢が用意されるが、正解は出されないままストーリーは始まる。

 結局、D/運命だった、が正解で、主人公ジャマールの口から「Destiny」という言葉も発せられる。
しかし、私の眼を奪ったのは、D/運命だった、の原語のIt is writtenという英文である。直訳すれば、書かれている、になるのだろうが、つまり、既に書かれていること(決まっていること)で変更の余地が無い、とでも言いたいのであろう。

 Destinyと言われれば、無信仰の私でも、神様の思し召し、と少し弱気にもなるが、It is writtenなら、不幸な運命が私に降りかかりそうになったら、消しゴムでも持ってきて、きれいさっぱり消し去り、ハッピーな運命に書き換えてやろうではないか、と俄然強気になれる。要は心の持ちよう、一度の人生、ポジティブに生きたいものである。