5月23日(土) ワーク・ライフ・バランス
先日、主人の勧めで、勝間和代さんの、『会社に人生を預けるな-リスク・リテラシーを磨く-』(光文社新書)を読んだ。
その中で、私が興味を持ったのは、「ワーク・ライフ・バランス」という考え方である。日本語に訳すと、「仕事と生活の調和」という意味になる。分かりやすく言えば、「仕事と私生活の両立」ということである。
当たり前のように、「残業」をしたり、かつて(今でも?)、「仕事人間」という言葉が存在したり、不幸にも、「過労死」する人の絶えない日本では、馴染みのない概念かもしれない。
欧米では、労働は、社会貢献と、充実した生活を送るためにあるのであって、仕事のために、生活を犠牲にする気など、さらさら無い。
従って、企業が、従業員のワーク・ライフ・バランスを、無視するような働き方を強要すれば、すぐに辞めてしまうだろう。
日本では、どうだろう?
いまだに、終身雇用制をとっている企業が多いので、ワーク・ライフ・バランスが多少悪くても、従業員は辞めることがないので、健康診断と福利厚生位しかやらないのである。
終身雇用制は、かつて、日本の高度経済成長を、推し進める原動力になったことは、否めないと思うが、今現在、制度自体の是非はともかく、時代にあっていない制度だと、私は思う。
いまどきの若者が、会社のために働くとは、到底思えない。
私が働いていた銀行でも、20代の若者は、給料と仕事量を天秤にかけて、割りに合わないと思えば、惜しげもなく、辞めていった。
その時は、もったいないなと思ったが、今は、再出発するなら、少しでも若い方がいい、と思える。
ところで、ゴールデンウィークに旅行した、ニューヨークで、ワーク・ライフ・バランスを考える上で、興味深い経験をした。
まずは、NYに着いたその日の夜、エンパイア・ステート・ビルにNYの夜景を見に上った時の出来事である。
ギフトショップでお土産を何点か選んだあと、最後に主人に急かされて、サングラスを選んで、レジに並んだ。見ると、レジ担当の黒人女性が、なんと、歌を口ずさみながら、歌に合わせて体を躍らせ、客が並んでいるのというのに、急ぐでもなく、1点1点、チェックしているのである。
次は、翌日、一人で行った、メトロポリタン美術館の、やはり売店にて。私が時計を気にしながら、並んでいるのに、英語圏の外国人(イギリス人もアメリカ人も私には同じに見える)と、「随分安いわね」「商品の入れ替えですから」などと、呑気に話しているのだ。レジ担当も担当なら、客も客である。私が待っているのを、二人とも横目で確認しているにも拘わらず、なのである。
旅行の出だしから、いい経験をさせてもらった。でも、彼女たちを責めてはいけない。ここはアメリカなのだ。仕事を楽しんで何が悪い・・・なのである。
私は、次の日から、考え方を改め、レジでは、鼻歌を歌いながら待つことにしたのである。
そして、日本に帰って来て、これからは、仕事を楽しんでしまおう・・・と密かに思っている。