7月21日(火) 『ニューヨークの24時間』

 少し前になるが、千葉敦子さんの『ニューヨークの24時間』(文春文庫)を読んだ。

 千葉さんは、著者紹介によると、1964年に学習院大学政経学部を卒業した後、東京新聞に入社、経済部記者となる。1967年ハーヴァード大学大学院に留学、1968年末東京新聞退社。1975年フリーランサーとしてジャーナリズムに復帰。1983年末ニューヨークに転居し、1987年7月乳がんのため亡くなっている。

 正確な年齢は分からないが、現在の私より、少し若くして亡くなられたのではないかと思う。

 私にとってこの本は、妙に納得したり、カチンときたり、気付かなかったことに気付かせてくれたりと、忙しかったが、読後感のよい本だった。

読み始め、「ときを忘れるような状態が、一番うまい時間の使い方をしている・・・」と書いてあり、本当にそうだわと思い、続きを読んだ。

 「自分に納得のゆかない仕事に就いていたり、本来の自分の能力とは関係のない仕事を選んでいる人は、・・・ものすごい時間のむだ使いをしている・・・」

 この辺りは、耳の痛い話だが、続きで「限りある人生」という言葉を使って、時間の貴重さを説いている点は、乳がんを患いながらの執筆だったことを考えると、心に留めねばと、妙に謙虚になる。

 ただ、ここで誤解があってはいけないので、念のために言っておくが、ここで言う「仕事」とは、狭い意味の職業である必要はない。

 育児でも、奉仕活動でも、研究であってもよく、とにかく自分の人生の中心に、自己を燃焼できるものを据える、ということである。

 「夢中になれる仕事を持たないならば、一体人生に何の意味があるでしょう。」とまで、言いきっているところはすごい。

 世間を皆、敵に回しているようなものだ。

 もっとも、自分の人生、人にどう思われようが、自分の自由に生きなければ損である。

もちろん、限度というものはあると思うが・・・

 忙しい人と、忙しがっている人の違いは、優先順位の付け方が、上手か下手かの違いによるそうだ。

 時間を無駄にしないために、〝things to do today〞というメモ用紙に、その日一日の予定を、優先順位が高い順に書き出す。

その際、一日の計画の中に、「自分のための贈りもの」を入れることと、最低一つはひとのために尽くす計画をもつことが大切だと、千葉さんは考えている。

私が最近実践していることでもあるが、自分以外でもできる仕事は、他人に任せるということ。

若しくは、私の場合、後回しにするということ。

 空いた時間は、本を読んだりする勉強の時間に充てたり、自分にしかできない仕事に集中する。

 時間を奪う「不愉快の感情」は、何か好きなことに没頭するか、紙にこと細かく書き出すことで追い出すとよいとのことである。

 ここを読んでハッとした。

 私がブログを立ち上げたのも、一面に「感情」の処理、ということがあったかも知れない。

 もちろん、無意識の内にではあるが・・・

 最後に、旅から学ぶということで、「日常生活から自分を解き放って、見知らぬ土地に身を置き、自分の内部に眠っていた欲求や、感受性や、あるいは自分自身でも知らなかった能力―サバイバル能力とか、未知の人と交渉する能力とか、困難に陥ったときに冷静な判断を下せる能力とかーを見出すのは、なんと新鮮な喜びでしょう。」とあった。

 この部分は、私の中に、ストンと音をたてて入ってきた。

 旅とは、そういうものである。