9月4日(金) ニューヨーク日記 その3(8月27日)
薄曇りの朝、34丁目にあるペンシルバニア・ステーション(ペンシルバニア方面の列車が出るためこの名前がついている)から、9時30分発のアムトラックで、フィラデルフィアへ向かう。
フィラデルフィアは特急で1時間30分、11時に着くと、こちらは快晴だった。
徒歩でペンシルバニア大学(通称PENN)に行くと、ちょうど学校説明会か何かが開かれていて、父兄が大勢いたため、フリーパスで校舎内に入ることが出来た。
もっとも敷地内には、門らしい門も無いので、簡単に入れるが、入学の門戸は、一部のエリート学生にしか開かれていない。
ちょうどお昼になったので、学生食堂で昼食をとった。
そのあと、COOPでお土産を少し買って、フィラデルフィア美術館にタクシーで向かう。
フィラデルフィア美術館前の階段は、映画「ロッキー」の中で、ロッキーがトレーニングを積んだ階段である。
階段下には、ロッキーの像があって、その前で記念写真を撮った。
展示作品自体は、メトロポリタン美術館やMOMA、ボストン美術館に比べると見劣りするが、建物そのものが、荘厳で素晴らしかった。
フィラデルフィア美術館を後にして、リバティベルと旧庁舎に向かう。途中、ロダン美術館と、フランクリン科学博物館に立ち寄った。
ロダン美術館は小規模なので、あまり期待しないで入ったのだが、「地獄の門」や「カレーの市民」の本物があって感動した。
前庭が工事中のため、「考える人」は一時的に、フィラデルフィア美術館に移設してあった。(フィラデルフィア美術館で見た。)
フランクリン科学博物館は、東京で言えば、竹橋にある科学技術館と、渋谷にあるこどもの城が合体した感じで、つまり、ごく小さい時から、科学に親しむ工夫がされていた。
例えば、迷路が単なるジャングルジムではなく、心臓の血液の循環経路になっていたりするのだ。
寄り道が多すぎて、少々疲れたので、博物館前からタクシーでリバティベルに向かった。
リバティベルは独立の象徴として有名なので、てっきり、独立後、記念に設置されたものと思っていた。
でも実は違っていて、売店で子ども向けの絵本を立ち読みしたところによると、独立前には、イギリスで新しい法律が出された際、それを周知させるために、市民を広場に集める道具として使っていたそうである。
旧庁舎を後にして、徒歩で市街地に向かう。
帰りの列車まで、時間がたっぷりあったので、洒落たイタリアンレストランのテラスでディナーをいただいた。
美味しい料理と、見知らぬ土地にいるという開放感から、夫と二人で、赤ワインを一本空けてしまった。
私は少々酔ってしまったようで、家族は「ママ大丈夫かな〜」と、心配していたみたいだが、本人は気分が悪いどころか、すこぶる上機嫌だった。
と言うのも、フィラデルフィアで嬉しい事が、二つあったからである。
一つ目は、この日私は、着ているブルー系の花柄のワンピース(オバマ大統領夫人とお揃い)に合わせて、ブルーとグリーンと無色のガラスビーズを使って、ネイルをしていた。
それを、ペンシルバニア大学の学食と、COOPのキャッシャーの女性職員に、それぞれ、cuteと言う言葉と、prettyという言葉で褒められたのだ。(帰りのアムトラックの女性の車掌さんには、beautifulと言われた。)
アメリカ人は、美に対して敏感で、他人のファションをよく観察している。
そして、良いと思ったものには、惜しげもなく称賛の言葉をかける。見知らぬ人に対してもである。
二つ目は、フランクリン科学博物館で、夫に「綺麗だよ」と言われたことである。
これには少し説明が必要である。
科学館には、現在から70歳までの、自分の顔の変化を予測する機械(警察のモンタージュ写真の技術)があって、家族4人でやってみたのである。
私は気乗りがしなかったのだが、最後にどうしてもと、子どもに言われて仕方なくトライした。
そのモニターを見ての夫の感想である。
見つめ合ってというシチュエーションでもなかったが、この前言われたのはいつだったか、思い出せないくらいだったので、とても嬉しく、温かい気持ちになれた。
こういうアメリカナイズなら、大歓迎である。