9月6日(日) ニューヨーク日記 その5(8月29日)

 昨夜、ヤンキー・スタジアムからの帰りが遅かったので、この日はゆっくりとした朝を迎えた。

 自宅からミートパッキング・ディストリクト、昨年オープンしたばかりのハイラインを経由して、チェルシー・マーケットまで散歩した。

 ミートパッキング・ディストリクトは、かつては、100を超える業者が集まる精肉工場街だったが、今では、NYで最先端のショップやレストラン、クラブが集まる、ファッショナブルなエリアである。

ソーホーとは違って、いかにも高級そうな洋服がディスプレイされていた。森本正治のレストラン「モリモト」もあった。お店は、安藤忠雄がデザインしている。

 石畳に赤煉瓦倉庫と、先鋭的なショップというコントラストが、ますます進化するNYを感じさせる。

ハイラインは、廃線となった高架鉄道跡を、遊歩道的な公園として再生したものである。

夜10時には入口は閉まるが、前にはハドソンリバー、後ろにはマンハッタンの夜景、さぞかし夜はカップルで賑わうことだろう。

そもそも、公園のベンチが木製のデッキチェアーの形をしているのだ。

たくさん歩いてお腹も空いてきた。チェルシー・マーケットにあるエイミーズ・ブレッドで、朝食を取ることにした。

ガイドブックに、NYで1、2位を争う美味しいパンの店、と紹介してあったからである。

 アメリカの食事は、お世辞にも美味しいとは言えないが、確かにここのパンは、日本人の口に合うようだ。

 朝食を食べ終えて、お散歩の続きである。目的地はソーホー。グリニッチ・ヴィレッジ経由で向かった。

 途中、「SEX AND THE CITY」の主人公キャリーが住んでいるという設定の家と、オー・ヘンリーの『最後の一葉』の舞台となった「グルーブ・コート」、オルコットが『若草物語』を書いた家などに立ち寄った。

 グリニッチ・ヴィレッジは、もともとは別荘地で、現在でも高級住宅街である。日本で言えば、白金や広尾と言ったところだろうか?

 ブティックもソーホーなどに比べると高級な感じで、小規模なブランドショップもたくさんある。

 その中の一軒で、黒のノースリーブの、スパンコールのミニのドレスを購入した。黒のノースリーブまでは、今までにもよく着たが、スパンコールのミニは初挑戦である。

 このドレスはNYの夫のアパートメントに置いてきた。

 年末年始に行った際に、クリスマスディナーかオペラのいずれかに行く時に着ようと思っている。

 そのためには、少し痩せないと・・・と思うのだが、私自身、食べることが大好きな上に、親切な同僚が、悪魔のような囁きで、おやつに誘うのだ。

 どうなる事やら、3ヶ月後のお楽しみである。

 ソーホーでも何着か買い足したが、まだNYはサマーセール中で、秋物が揃っていなかった。

 ゴールデンウィークの時のように、たくさん買えなかった上に、夫が娘の洋服ばかり選ぶので、すっかりテンションが下がってしまった。

 秋物を日本でたくさん買う事にする。

 夕食は自宅の近くのピザ屋さんに行った。夫が色々なお店のピザを食べ比べて、美味しいと評価しただけあって、とても美味だった。

 夜は二人で、ジャズクラブ「Blue Note」に行った。10時半からの部には、ビブラホーンの名手ロイ・エイヤーズのバンドが出演していた。

 私はジャズに明るくないので、ロイ・エイヤーズは知らなかったが、バチ捌きはすごかった。トークも面白く、楽しい時間を過ごすことができた。

 お店の中はカップルで一杯だった。思わず視線がそちらに向いてしまうような?カップルもいたが、自由の国アメリカらしい。

 終わってから自宅まで歩いて帰った。夜中なのに怖いという感じはしなかった。

 夜中の街を二人で歩くなんて久しぶりである。

 ニューヨークは、私にとって、新しいことに挑戦できる街であり、懐かしさに浸れる街でもある。