10月13日(火) 吉祥草

 今年もまた、庭の吉祥草の花が咲いた。

 吉祥草という花の名前を、聞いたことが無い人も多いと思う。かく言う私も、庭に咲いているにも関わらず、数年前、友人とのウゥーキングの途中で立ち寄った、「世田谷区立桜丘すみれば自然庭園」でこの花を偶然見つけ、そのキャプションで知ったのだ。

 この公園は環八に面していて、周りがレンガ塀で囲まれている。以前から、脇を車で通るたびに、資産家の邸宅なのだろう、くらいに思っていた。

 この感想はあながち間違ってはいなくて、世田谷区が故植村傳助氏の邸宅跡地を買い取って、公園としてオープンしたのは、2003(平成15)年の事である。

植村傳助氏とは、シュウウエムラ化粧品の創設者植村秀氏の父君で、貿易商として財を成した人らしい。

植村傳助氏の、「武蔵野の風景を再現したい」との思いのもとに、昭和初期に造られた庭園で、家族や造園家らの手で受け継がれてきた。

 面積約6,600㎡の公園は、整備された公園というより、ただの原っぱという感じで、草原には、春になると、名前の由来のスミレが一面に咲くそうだ。草原の隣にはドングリ林もあって、林の中に入り込んだような感覚に浸れる。

 機会があれば、また春に訪ねてみたいと思っている。

 話を吉祥草に戻すが、吉祥草はユリ科APG植物分類体系ではスズラン科)の常緑多年草である。
花の形は後者のスズランに近い。ただし、花の色はピンク〜薄紫である。

 花の名前の由来は、吉祥草が、常には花をつけないので、植えてある家に吉事があるときにのみ開花するという言い伝えから、家に植えておいて花が咲くと縁起がよいと言われる。

 もちろん俗説であるし、迷信めいたものと、起こった事象とに、偶然でも因果関係を見出してしまうと、囚われ過ぎてしまうので、あまり気に留めないようにしている。

 いちいち覚えていないが、今年はとりあえず咲いている。去年は咲かなかった。一昨年の事は覚えていない。その程度である。

 ・・・とは言っても、やはり、毎年気になってしまうものは、仕方がない。