10月25日(日) 映画「沈まぬ太陽」

 昨日は、映画「沈まぬ太陽」の公開初日だった。友人と銀座に観に行くつもりだったが、初回に舞台挨拶があるという事で、混雑を避けて、新宿のバルト9で観ることにした。

 時節柄、繁華街に出掛ける時は、なるべく、空いている早めの時間を心がけている。そのあとのフットワークもいいし・・・

 原作は、『週間新潮』に連載され、その後、新潮社から全5巻本で出版された、山崎豊子の同名の小説である。

 小説ではあるが、実際に起こった1985年8月12日の日本航空ジャンボ機墜落事故がモデルになっていて、登場人物も、多く実在のモデルがいるので、リアリティに満ちていた。

 上映時間が3時間20分に及ぶ長編(途中10分間の休憩が入る)だったのも関わらず、小説を読んでいて、時間が経つのも忘れて朝を迎える・・・的な感じで、スクリーンにのめり込んでしまった。

 キャスティングも、今考えられる最高の顔ぶれだったと思う。その昔、三浦友和ファンだった私としては、彼が行天四郎(架空の人物)という悪役的存在で登場したのが少し残念ではあった。

 テーマとまで言い切っていいかは自信がないが、「男の矜持」がコアにあると観てとれた。

 最後まで矜持を持ち続けた主人公恩地元(渡辺謙日航労組元委員長小倉寛太郎がモデル)、途中で矜持が曲がってしまった行天四郎、という対比が見ごたえがあった。

 少し前までの私だったら、迷わず恩地元に惹かれていたと思うが、今は、松雪泰子演じる三井美樹(客室乗務員)が、恩地の強さに惹かれながらも、行天の愛人になった気持が理解できる。

 恩地とともに労働組合を率いながらも、肝心なところで腰が引ける弱さを持つ行天。組織の中で懸命に生き残ろうとして、崩れていってしまう。

 思わず助けたいと思ってしまうのが、女心というものだろう。松雪泰子もいい味を出していた。

 初回だったのに結構混んでいた。男性一人で観に来ている人も多かったが、機会があれば、夫婦で観たい映画だと思った。