12月3日(木) 過去を背負って生きる

 先日、松本清張原作の映画「ゼロの焦点」を観に行った。

 大抵の場合、原作を読んでいると、映画は時間内に収める必要性から、簡略化されているので、観ていて物足りなさを感じるものだが、推理小説のジャンルについては、もともと、筋がシンプルなため、がっかりすることが少ないように思う。

 「ゼロの焦点」も、私にとっては、十分に楽しめた。

 戦争直後の混乱が招いた、女性ゆえの悲劇を、偶然の再会が呼び覚ましてしまう・・・

 やりきれない思いを残す映画だった。


 人間誰しも、大なり小なり、過去を背負って生きていると思うが、背負いきれない過去を背負ってしまった人間を待っているのが、「死」だけだとすれば、それはあまりにも悲しすぎると思う。