1月8日(金) ニューヨーク日記4(12月26日)

 今朝のSkypeで、エンパイアステートビルのイルミネーションが、赤・緑から、青に変わったと教えてくれた。赤・緑の組み合わせは、サンクスギビングから1月6日までということになる。通常は白なので、1月7日の青が何を意味するのかは分らない。

 もう一つ、この日、私がプレゼントした手編みのマフラーを、どこかに置き忘れるという事件が起きたそうだ。いろいろな所に行ったので、どこに置き忘れたか思い出せなかったらしく、銀行に戻ったりもしたが見つからず、結局、お昼を食べた、大学近くの韓国料理店にあったそうだ。

 お店の人が親切で、取り置いてくれたので、良かったものの、危うく紛失するところだった。マフラーを失くしたことを、私に報告しなければならないと考えると、心臓が縮みあがる思いで、焦り探したに違いない。

そんな夫の姿を想像すると、怒るどころか、愛おしくさえ思える。失くすことを恐れて、しまっておかれるより、たとえ、失くしたとしても、その時まで身につけてくれていた方が、余程嬉しい。マフラーは、また、編んであげればいいのだから・・・



 さて、ニューヨーク滞在4日目は、朝から雨だった。スケジュールは、天候によってフレキシブルにこなせるように立てていたので、この日は、ノイエ・ギャラリーと、メトロポリタン美術館に行くことにした。

 ノイエ・ギャラリーには、8月28日にも二人で訪れているが、大好きなクリムトの、「アデーレ・ブロッホ=バウアー」に、もう一度会いに行ったのだ。入館料15ドルなので、ある意味、安いとは言えないが、私たちにとっては、その価値が充分にあるのだ。

 西洋と東洋の、微妙なバランスでの融合が、何ともいい。今度はいつ会えるのかと思うと、館内にいる間、何度か戻っては眺めた。

 ノイエ・ギャラリーを出て、雨の中を少し北に歩いて、セントラルパーク内の、ジャクリーン・ケネディ・オナシス・レザボワール(貯水池)に立ち寄った。

 貯水池の対岸に見えるツインタワーを、どうしても見たかったからである。たぶん高級アパート(日本でいえば、高級マンション)なのだろうが、ニューヨークの写真や、ニューヨークを舞台にした映画、例えば、「SEX AND THE CITY」でも、セントラルパークのシーンでは、何度も登場する。

 娘は、夏に、ツインタワーをバックに、記念写真を撮ったが、この日は雨だったので、建物の写真をカメラに収めるに止めた。

 このあと、来た道を戻って、メトロポリタン美術館に向かった。クリスマス休暇と雨が重なって、美術館は混雑していた。

 メトロポリタン美術館は、4月30日、夫が授業を受けている間に、マンハッタンを初めて一人歩きした際に訪ねた、私にとって、思い出深い場所である。

 その時は、世界的にも超一級品の絵画が、あまりにも無造作に展示され、また、その絵画と、人との距離が、物理的にも、心理的にも近いのに、感動を覚えた。ヨーロッパの、多くのお高くとまった美術館とは明らかに異なっているし、日本に至っては、問題外である。

 この時は、館内で、いつまでたっても、出口にたどり着けなかったり、セントラルパークを横切ろうとして、迷子になりかけたり、というおまけもついたが、この経験が、私という人間を、見つめ直すきっかけとなった。

 話は12月に戻るが、2度目ということもあり、今回は落ち着いて、絵画を鑑賞することができた。ただし、今回も、夫が一緒だったにも関わらず、やはり、なかなか出口にたどり着けなかった。そのおかげで、有名なクリスマスツリーを何回も見ることはできたが・・・

 自宅に戻ると、疲れが出たのか、二人で4時間もお昼寝をしてしまった。

 夜、日本の自宅にSkypeすると、息子が歯が痛いと言う。生憎、日本は翌日曜日なので、杉並保健所内の休日等夜間歯科診療所を受診するよう指示した。

 まったく、現実とはこんなものである。