1月12日(火) ニューヨーク日記8(12月30日)

 今日は、都心にも初雪が降った。自宅付近は、聞くところによると、午前中、霙まじりだったらしい。



 ニューヨーク滞在8日目は、主だったところとしては、コロンビア大学ブロンクス動物園、ルーズベルト島を訪ねた。

 この日もよく晴れていて、気温はチェックしなかったが、たいした寒さではなかった。

 午前中、14th St駅から1線で、116th St Columbia University駅まで行き、大学内に入った。この地区が、マンハッタンで、安心して一人歩き出来る北端と言われている。

 旧図書館前で写真を撮ってから、中に入ると、今は、講堂として使われているようで、オバマ大統領がスピーチをする時のような、演台が置いてあった。

 構内の芝生が、青々として綺麗だったが、冬のこの時期に、枯れないなんて、何という種類だろうか?

 その後、大学生協でお土産を探した。私が売店内をうろうろしている間に、夫は、書籍コーナーで、20年前に出版されて、探し求めていた本を偶然見つけ、とても嬉しそうだった。

 再び、同じ駅から1線に乗り、96Stまで一旦戻り、2線(急行)に乗り換えて、Bronx Park East駅で降りた。

 駅から動物園までは、公園内を10分ほど歩く。公園自体は、きれいに整備されていて、児童公園あり、バスケットコートありで、いいところなのだが、人一人いなかったので、「Hold Up!」などと言われたら、おしまいである。

 この日は水曜日で、動物園はドネーションデーだった。任意の金額を寄付して入場すればいい。通常は15ドルなので、チケット売場で、何ドルがお奨めか?と聞いたら、特にありません、と言う。
では、一人1ドルでいいか、と言ったら、笑顔でsureと言うので、二人で2ドル払って入場した。

後で、園内の看板を見たら、一人5ドルを希望します、と書いてあった。それならそうと、最初から言えばいいのに・・・でも、入口で見ていたら、払わないで入って行く人も大勢いた。

話は逸れるが、メトロポリタン美術館は、いつでもドネーションで入館できる。一応20ドルとは書いてあるが、それ以下でもOKである。私は気が弱いので、いつも20ドル払っているが、聞いたところによると、日本人でも、家族で行く場合などは、この制度を利用しているようだ。

ブロンクス動物園を訪ねたのは、山崎豊子の「沈まぬ太陽」で、この動物園が取り上げられているからだ。

11月に夫が一時帰国した際、二人で観に行った映画でもあるし、「世界で最も獰猛な動物」を映すという「鏡」も見てみたかった。

しかし、入口で聞いても、そんな鏡は無いという。仕方なく、園内を散歩した。日本にいたら、夫と二人で動物園には行かないだろうな、と思ったら可笑しくなった。

 トラ、シロクマ、ヒョウ、クマなど、自然に近い形で飼育されていた。

 Tiger Mountainに行った時、ちょっと興味深い展示があった。アクリル板?の周りに、トラ、ヒョウ、ゾウ、シカ、ヘビ・・・その他、いろいろな動物の写真が飾ってあり、キャプションに、「Smile! You’ve been Camera-trapped! Can you find your picture?」と書いてある。

 アクリル板は、ちょうど鏡のように、前に立った人を映す。その人が、鏡に映った自分の姿を、写真に撮って、その写真を見て、あなたは、どの動物ですか?と尋ねているのだ。

 ここからは、私の推測だが、動物園の係の人が言うのだから、「世界で最も獰猛な動物」を映す「鏡」そのものは、ブロンクス動物園には、恐らくないのだろう。でも、「沈まぬ太陽」動物園での1シーンは、この展示をヒントに作られた、創作である可能性は大ではないだろうか?

 何か、すごいことを発見したみたいで、とても嬉しくなってしまった。

 園内の散歩を終えて、レストランで軽く昼食を取ってから、再び来た道を戻って、2線に乗って、149St-Grand Concourseで4線に乗り換え、59St駅で降りた。

 ここから徒歩で、60Stにある、Tramway(ロープウェイ)の駅に向かい、イーストリバーに浮かぶルーズベルト島までの、数分の旅を楽しんだ。

 ルーズベルト島には、マンハッタンの夜景を眺めるために行った。日没までの時間を、スターバックスで過ごした。

 日没を待って、カフェモカを飲んでいると、NY にしては珍しく、ゆっくりとした時間が流れた。今回、二人で訪れた場所が、走馬灯のように頭の中を廻った。そろそろ、帰国までのカウント・ダウンが始まったかなと思うと、こみあげてくるものを抑えることが出来なかった。

 だんだん、暗くなり始めたので、外に出て、写真を撮ったりしていた。すると夫が、駅前に次々来るバスが、どうも住人のための、島内循環バスらしい事に気付き、乗ってみることにした。25セントで乗れて、島内が観光できて、しかも、夜景も楽しめたので、ヒットだった。

 しばらく、マンハッタンの夜景に、見惚れたあと、F線で、42St Bryant Park駅まで行った。

 ブライアント・パークにも、大きなクリスマスツリーと、スケートリンクが設置されていた。ツリーのイルミネーションと、リンクの照明が眩く、BGMまで流れ、辺り一帯が、まるで、夢の世界のようだった。夕食と食材を買うために、途中下車しただけなのに、またまた、幸せなひとときを過ごせた。

ちよだ寿司でお寿司を買いこみ、隣の日本食材店で、年越し蕎麦や、お菓子を買った。家ではビールも、ワインも、日本酒も待っている。お腹もすいてきたので、再びF線に乗って、自宅のある14th St駅まで戻った。