1月15日(金) ニューヨーク日記11(1月2日)

 いよいよ、ニューヨーク滞在最後の日となった。明日はいよいよ日本に帰る。この日は、朝から曇っていて、風も強かった。気温のチェックはしなかったが、夕方5時に自宅に戻った時、マイナス4度しかなかった。風が強かった分、体感温度は、2〜3度は低かったはずである。

 さすがの私たちも、この日ばかりは、あまり歩くことができず、タクシーを足代わりに使った。マンハッタンのタクシーは安くて、初乗りが2ドル50セントである。地下鉄は、一律2ドル25セントなので、近場なら、二人で乗れば、お得な場合もあるのだ。

 まずは、14St駅からF線でLexington Ave 63St駅で降りた。29日に空振りに終わった、ロックフェラー大学に行くためである。

 ロックフェラー大学にこだわる理由は、ノーベル賞受賞者を、数多く輩出している、名門大学であるばかりでなく、野口英世がこの大学で、梅毒スピロヘータの研究をしていた時期があって、図書館に、野口英世銅像があるというからだ。

 門をくぐると、先日来た時と同じ守衛がいて、今日はまだクローズだと言う。今度は、4日(月)からオープンだと言う。何をとぼけたことを言っているのだ、この人は。あなたが、2日からオープンすると言ったから、滞在最後の日の貴重な時間を割いて来たのではないか。

 夫が、かなり粘って交渉してくれたが、校内に、職員がいなかったのが致命的であった。守衛相手では、埒が明かない。原則論を言うばかりであった。

 夫は、春に一人で1回、夏休みに息子と1回、娘と1回の合計3回、ロックフェラー大学に来ている。何も好き好んで、4回も見ることはないのだ。家族の中で見ていないが、私だけと言うのを気に掛けて、交渉してくれたに違いない。そう思うと、心から感謝したい気持ちでいっぱいになった。

 気持を入れ替えて、少し歩いたところからタクシーで、昨日お休みだった、5番街の時計店に行った。定価販売だったので、ウィンドウ・ショッピングになってしまった。

 ニューヨークは、衣類は安いが、時計は、GUESSなどの一部アメリカブランドを除いては、ヨーロッパからの輸入品なので、日本と変わらない感じがした。

 5番街から再びタクシーで、グランド・セントラル駅に向かった。今度は、25日に空振りした、オイスターバーに行くためである。

 メインは、Fried OysterとSweet Fried Potatoをチョイスした。白ワインにFresh Oysterをと思ってメニューを見ると、20種類以上もあって選びかねた。

 ボーイさんに6個欲しい、と言ったら、Shareするのか?と聞かれたので、そうだ、と言ったら、3種類の牡蠣を、2個ずつ持って来てくれた。ワシントン産・ボストン産・ニューヨーク産の3種類であった。一人で食べると言えば、6種類の牡蠣が出てきたのだろう。微妙に味が違うのには驚いた。私たちは、ニューヨーク産が一番おいしい、と言うことで、意見が一致した。

 メインは、食べきれないほどの量だった。アメリカ人の胃は、一体どんな大きさなのだろうか?最初から分かっていたら、一つ頼んでShareしたのに・・・と思っていたら、びっくり。後から来て隣の席に座ったカップルが、私たちのメインを見て、どの料理かと聞いてきたので、教えてあげたら、二人ともオーダーして、ぺろりとたいらげた。

 お腹もいっぱいになり、とても満足だった。腹ごなしに、徒歩で国連ビルに向かった。改装中で中には入れなかったが、銃口が結ばれているピストルの像を、フェンス越しに見た。

 国連前から再々度タクシーで、78丁目イーストにある、アメリカ自然史博物館に行った。

 雨の日に行ったメトロポリタン美術館も混雑していたが、この日の自然史博物館は、もっと混んでいた。約350万年前の化石人骨のルーシーや、恐竜・マンモスの骨などを見学した。氷河期の人類の生活を再現した展示は、興味深かった。

 地下鉄で自宅に戻り、お昼寝をした。寒さが体力を奪うということを、ニューヨークに来て実感した。

 2〜3時間は寝ただろうか?目が覚めたら、すでに7時を回っていた。夜は、近くのヴィレッジ・ヴァンガードという、半世紀以上の歴史を持つ、名門ジャズクラブに行くことにしていた。9時開演だが、8時にはお店が開くというので、急いで支度をして出かけた。クラブまでは、徒歩で10分弱である。

 お店の前には、すでに多くの人が待っていた。しばらくしてから、お店の人が出てきて、今日明日は、予約でいっぱいであることを伝えた。キャンセルが出た場合は入れるので、8時45分にまた来い、とも言った。

 自宅が近いので、一度帰り出直すことにした。自宅に帰って待つ間、電話で他のお店にもあたったが、状況は同じだった。

 8時45分に再びヴィレッジ・ヴァンガードに行ってみると、運よく入ることができた。夏休みに行ったブルー・ノートのように、派手な演出は無かったが、本場のジャズを聴きながらいただいた、「マンハッタン」は美味しかった。

 マンハッタンは、カクテルの女王と呼ばれる、ウイスキーベースのカクテルである。お店の人が強いカクテルだけど大丈夫?と聞いたが、大丈夫、と答えた。マンハッタンに沈む夕日をイメージしたとも言われているが、見た目もきれいなカクテルである。

 帰りがけにピザを買って、自宅でグラスを傾けた。時折、エンパイアステートビルを眺めながら・・・こうして、ニューヨーク最後の夜は更けていった。