2月7日(日) ハトのふんは幸運を呼ぶ?

 岡田光世さんの「ニューヨークの魔法」シリーズ第3弾、『ニューヨークの魔法のことば』も、例によって、一気に読んでしまった。

 今回も、私がニューヨークで経験したことがたくさん書いてあった。

 見知らぬ人に、服装や身につけている物をほめられることは、ニューヨークではよくあるらしい。私も、夏休みに行った時には、ネイルは何度も褒められたし、持っているバッグを褒められたり、ワンピースを褒められたりした。

 「I love your dress.」(あなたのドレス、素敵ね)といった感じで。声をかけてくれるのは、女性とは限らない。男性もすれ違い様に、ちょっと声をかけてくる。夫が隣にいても・・・である。



 お店に入った時は、「How are you?」、買い物を終えて帰る時は、必ずと言っていいほど、「Enjoy.」と声をかけてくれる。教科書的な知識では、「Have a nice day.」と言いたいところだが、そんな長い言葉は喋らない。クリスマスの頃は、「Merry Christmas.」だし、お正月は「Happy new year.」だった。

 決まり文句であることに変わりはないが、日本で言う、「いらっしゃいませ。」「ありがとうございます。またのお越しをお待ち申し上げます。」よりは、気が利いているし、心が通うように思える。

 実際、私も、「You ,too.」と、つい声をかけたくなってしまう。



 『ニューヨークの魔法の言葉』を読んでいて、思わず笑ってしまったのが、ハトのふんの話だった。ニューヨークには、ハトが多いんだなあ、と妙に納得してしまった。

 クリスマスイヴの日、ロックフェラーセンターに、クリスマスツリーとスケートリンクを見に行った時、観光初日ということもあって、「本当に来ちゃった!」などと、感動に浸っていた、その最中に、私の頭の上に、何かが落ちてきた。

 夫に、「上から何かが落ちてきたみたいなんだけど・・・」と、頭を見てもらうと、「ハトだよ、ハト」との答え。

  その一言で、事態を把握した私は、とにかく、トイレに行って、鏡を見ながら落とさなければ…と、素早い行動に出た。

 ところが、警備の人の話では、トイレはちょっと離れた所にありそうだったので、目の前にある、メトロポリタン美術館売店に駆け込んだ。

 アクセサリー売り場に行ったら、空いていて、「May I help you?」と声をかけられてしまった。この時ばかりは、構わないで欲しかった。

 「No ,thank you.」とだけ答えて、おもむろに、フィッティング・ミラーに向かって、髪の毛についたハトのふんを、ティッシュを使って落とし始めた。

 店員さんは、見て見ぬふりをしてくれたので、助かった。幸い、軟便ではなかったので、程なく、きれいに落とすことができた。

 「落ちた?」と呑気に声をかけてきた夫は、店内でお土産を見ていたようで、ついでに、クリスマスのセール品などを、何点か購入した。



 日本でも、鳥のふんが頭に落ちてきたり、犬や猫のふんを踏んだ時には、“運が付く”と言うが、アメリカでは、“ハトのふんを落とされた人には、幸運が訪れる”と言われていることを知り、被害が笑い話程度のことだったし、却って、嬉しくなってしまった。

 どんな幸運が訪れるのか、いや、幸運はつかむものだろう・・・などと、考えているうちに、休日の午後、車でお買い物にでも出かけよう。