5月11日(火) ニューヨーク日記2(4月30日)

 今回のニューヨーク行きの、一番の目的は引越しなので、観光については、優先順位を付けて、また、できれば晴れた日がよいものと、雨の日でも構わないものに分けて、回ることにしていた。

 この日は、5時起床、家でしばらくのんびりしていると、太陽が昇って来た。夫が出してあった洗濯物が、出来上がっているというので、7時にクリーニング店が開くのを待って、取りに行った。

 クリーニング店の匂いは、そのまま、ニューヨークの夫の部屋の匂いでもある。香料の効いた洗剤を使用しているのだろう。

 一度部屋に戻ってから、近所のDINNERに、朝食を食べに行った。そして、8時には店を出て、地下鉄1番線の14St.から、42St.Times Sqまで行き、サークル・ラインの乗り場まで歩いた。

 8時45分には乗り場に着いたが、まだチケット売り場が開いていなかったので、隣にあるINTREPID(航空母艦)を外から見学した。ステルス戦闘機や、コンコルドなどが見えて、中に入らないでも、それなりに楽しめた。

 そのうちに、チケット売り場が開いたので、10時から3時間のマンハッタン島1周コースのチケットを購入した。

 観光船は、ハドソン・リバーを南に進み、イースト・リバーを北上、マンハッタン島の北端で、再びハドソン・リバーに戻って、川を南下した。

途中一番面白かったのは、北のいわゆる“ハーレム”と呼ばれる場所には、土地が低い場所と、高台になっている場所があることに気付いたことである。

 船上から見ても、土地が低い場所は、雰囲気が悪く、高台は、見えないが、並んでいる建物を見る限り、高級住宅街のようであった。このことについては、この日、後で実際に“ハーレム”を歩いて、この目で確認した。

 3時間のクルーズは、あっという間に終わった。来た道を戻り、吉野家で、1時半に、少し遅い昼食のお寿司を食べた。

 吉野家と言えば牛丼だが、アメリカの牛肉は硬いので、安くても食べる気にならない。

 次は、クロイスターズ美術館(中世の修道院)に向かうため、午後2時、42St. Port Authority Bus Terminalから地下鉄A線(急行)に乗って、190St.で降りた。

 この駅は、土地が低い所にあるが、出口が2か所あって、Overlook TERの方は、別荘地のように雰囲気がいい。クロイスターズは、もちろんこちら側にある。

 改札を出て、エレベーターに乗って、Overlook TERの方の出口を出ると、右手にFort Tryon Parkが見える。公園内を散歩しながら、奥にあるクロイスターズを目指した。

 この公園に植えてある花というのが、さつき、こでまり、すいせんなど、日本で馴染み深い花ばかりだったので、設計者は日系人かしらと思ったほどである。

 クロイスターズに着いたのは、午後3時。館内を1時間かけてゆっくりと回った。『クロイスターズの十字架』や、『「受胎告知」の三連祭壇画』も素晴らしかったが、何といっても、『一角獣狩りのタペストリー』は圧巻であった。

 館名のクロイスターズの、クロイスターとは、修道院の回廊のことを言うが、中庭に『クサの回廊』があって、ニューヨークにいることを忘れ、しばし、新婚旅行で訪れた南仏を思い出させてくれた。

 私は回廊座って休憩を取りながら、サンダルが擦れて出来た豆に、バンドエイドを貼った。

 午後4時、公園内の違うルートで駅に戻り、A線で145St.まで行った。住宅展示場にある家のようなハミルトン邸から、ニューヨーク市立大学の構内を抜け、APOLLOシアターの前で記念撮影。ここは、立派なハーレムである。いわゆる“マンハッタン”とは、まったく別世界であった。

 121St.を歩いて、公園内の崖の階段を上ると、今度は高級住宅街。リバーサイド教会を外から眺め、グラント将軍の墓も時間が遅かったため外からのみ。そのまま、コロンビア大学に向かった。

 図書館の前の階段の中腹には、有名なAlma Mater(母校の意)像がある。

この像は、リンカーン記念館のリンカーン像やハーバード大学ジョン・ハーバード像も手がけたDaniel Chester French作の銅像で、ローマ神話の知恵と工芸を司る女神ミネルヴァの像である。多くの作品に「フクロウ」を隠したことでも知られており、実際、Alma Mater像にも隠されている。学部生の伝説として、最初にフクロウを見つけた者が、その学年の卒業生総代になるとのジンクスがある。(DIS/MASより)

私はコロンビア大学生ではないが、フクロウ探しに挑戦してみた。見事に発見!気分を良く、コロンビア大学を後にし、St. John The Divine教会の前を通って、110St.駅から地下鉄1線で自宅に戻った。

夜は、Jekyll and Hyde Club(デイズニーランドのホウンテッド・マンションのような仕掛けが、時間になると動き出すことで有名)で夕食を食べたあと、ミートパッキングディストリクトに立つ今が旬の、Hotel Gansevoortのペントハウス階のバーで、ハドソン・リバーの夜景を見ながら、カクテルを飲んだ。

昨日の夕方、ニューヨークEWR空港に着いたばかりなのに、随分とハードな1日を送ったものだと、我ながら感心した。