7月14日(水) 片方無くしたピアス・・・?

 少し前の話である。

 仕事を終えてまっすぐ家に帰り、さっさと夕食の支度をして、それでも時間が余ったので、取りに行き損ねているクリーニングの品を取って、ついつい買い忘れていた物を買って来てしまおうと、エプロンを外し、自転車で出掛けた。

 外は、雨こそ降っていなかったが、風が強く、耳からぶら下げていた、少し大きめの、フック式のピアスは、風にパタパタと揺れていた。

 クリーニング店の閉店時間が迫っていたこともあって、環八の黄色信号は“進め”と読み替えて渡り、お店に向かった。(この時に違いない!と後で思った)

 品物を受け取り、その足でスーパーに向かった。

 帰りは、自転車の籠が一杯になったので、のんびりと漕いで帰った。

 買って来たものを片付け、汗もかいた事だし、シャワーを浴びてしまおうと思い、さて、ピアスを外して・・・と思って血の気が引いた。

 右耳のピアスが無い!

 GWにニューヨークに行った時、二人で道を歩いていて、私に似合いそうなピアスだと、道端のお店で足を止め、夫が買ってくれたものだった。

 さっき、環八をぶっちぎりで渡った時に、髪の毛か何かに引っかかって、外れたに違いないと思った。

 すぐに自転車に乗って、念のため、通った道を探しながら、環八に向かった。

 環八は特に念入りに探したが見当たらず、スーパーにも、あったら連絡をもらえるようにお願いした。

 いったん家に戻り、今度は懐中電灯を持って、歩いて探しに行くことにした。夫にも一緒に来てもらった。

 嫌味を言われながら探したが、結局見つからず、車が踏みつけて、そのままタイヤに付いてしまったに違いない、と私は思った。

 無くしたショックと、不注意から無くした事を許してくれそうにない夫の雰囲気にもショックを受け、泣いてしまった。

 ひとしきり泣いてから我に返り、家族に夕食を食べさせなければと思い直し、ふたたびエプロンをかけて、キッチンに立とうとした。

 リビングのソファーに置いたエプロンを取ろうと、手を伸ばしたところ、脱いだエプロンのネックのあたりに、ピアスがあった。

 思わず、「あったぁ〜!」と、大声を上げてしまった。

 ピアスは、風になびいて外れたのではなく、エプロンを外す際、布に引っ掛かって外れたのだ。

 それ以来、無くすことが怖くなって、自分で買ったピアスしか付けられないでいた。

 先週末、パークハイアットにJAZZを聴きに行った時、久しぶりにNYで買ってもらったピアスを付けた。

 どれもお気に入りなので、また、付けてみようかと思い始めている。



 ピアスを無くしたと思い込んで泣いた翌日、職場に行くと、先輩から、「今日のアイメーク腫れぼったく見えるから、アイシャドー持っているなら、メイクし直した方がいいよ」、と言われた。

 腫れぼったいのは、メイクのせいではなく、昨晩泣いたせいだと話したところ、その先輩は、若かった頃、泣く時は必ず鏡を見て泣いて、“ここまで”(翌日腫れぼったくならない程度)と思ったところで、泣き止むことにしていたとのこと。

 今でも、美を追求する気持ちは、私など足元にも及ばない。見習わなければと思う一方、見ていてくれるという安心感で、心が温かくなった。

 私は、周りの人に迷惑をかけながら、そして、見守られながら、生きているんだなぁ〜と、久々に考えさせられた出来事だった。