8月29日(日) フェアレディZロードスター

 話は8月の初めに戻る。

 偶然のいたずらから、私たち夫婦は、近所の中古車屋さんを覗いた。

 そこで、私たちは出会ってしまったのである。日産フェアレディZロードスター3.5バージョンSTに。いわゆる、幌付きのオープンカーである。

2007年式(Z33型)だが、走行距離が1.1万kmと少なく、もちろん修復歴も無い。

 翌日試乗させてもらって、翌々日には、契約を結んだ。

 一目惚れで車を購入するなんて、気は確かか?と、私たち夫婦を知る人なら、思うかもしれない。

20年以上一緒に暮らしていても、胸に抱いた夢など、案外知らないものだと、その時思った。私たち夫婦はお互い、オープンカーに乗りたいという夢を持っていたのである。

 決して安い買い物ではないので、夫は、購入に多少の迷いがあったらしく、私が一笑に付して反対するか、もしくは、試乗した結果、扱いきれないからと反対することに、一縷の望みをかけていたようである。

 ニューヨークに行く前の私だったら、もしかしたら、受験生を抱えて、オープンカー購入は無いだろうと、と反対したかもしれない

 でも、私もオープンカーに乗りたかったのである。やりたいことは、我慢しない。

購入出来るものなら、反対する理由は無い。まして、試乗してみたら、AT車なので扱いが簡単な上、走りは最高であった。

 そしてナンバーは、4,100円出せば選べるということが分かったので、結婚記念日のナンバープレートを付けることにした。


 待ちに待ったフェアレディZは、26日(木)に納車された。 フェアレディZに乗っていると、いろいろな人から声を掛けられると書いてあったが、まさにその通りであった。

 車を受け取ったその足で、夫と二人で、いつも行くガソリンスタンドに向かった。

そこの学生アルバイトの男の子も、フェアレディZ32型に乗っているとのことで、窓を拭きながらの会話が弾んだ。

 彼曰く、「女性がZを運転してるのって、かっこいいっすよ。お似合いっすよ」と言われた。

 「〜っすよ」という語尾が、私にとっては、新鮮な響きであった。

 「フェアレディZオーナーズクラブZに是非来て下さいよ」とまで誘われてしまった。

 参加するかしないかは別としても、いきなりの展開に、ネットに書いてあったことは、本当だったことを実感した。


 翌27日(金)は、仕事から帰ってから、二人で第三京浜に乗り、保土ヶ谷まで行ってみた。

 世田谷の砧公園まで往復する予定だったのだが、環八が渋滞していて、走った気がしないので、思い切って足を伸ばしたのであった。

 予定外の展開だったので、ETCカードも持っておらず、高速道路は現金払いをしたくらいである。

 また、保土ヶ谷には土地勘が無かったので、帰りはナビゲーションの案内に従って帰宅した。

 10年来乗っている、プリメーラステーショナリーワゴンには、ナビを搭載していないので、ナビゲーションシステムを操作するのも初めてであった。

 今まで、地図を検索するのには時間がかかったため、夫婦言い争いの種であったが、これで解消された。


 そして、今週末は、車に慣れるために、二人で北軽井沢に1泊旅行に出掛けた。

 28日の土曜日は、午前・午後とも予定が入っていたので、夕方6時過ぎに自宅を出た。自宅から軽井沢までは、私が運転した。8時の閉店ギリギリにツルヤに着いて、5分で買い物を済ませた。

 初めての車で、夜の高速道路を運転してクタクタになったので、ツルヤから先は、夫に運転を代わってもらった。

 そして今日は、浅間・白根火山ルートを通って、草津白根山まで行ってみた。行きは私が、帰りは夫が運転した。

 白根山では、駐車場に車を置いて、「湯釜」まで往復35分の登山?をした。久しぶりの湯釜だったが、相変わらず、綺麗なエメラルドグリーンの火山湖だった。

 白根山に向かう途中、万座で休憩を取ろうと思い、駐車場に右折で入ろうとしていたら、駐車場で円陣を組んでいた、20人位のバイクツーリンググループが、一斉にこちらに体を向けて、そのまま目で追うのである。

 何かのコマーシャルフィルムを見ているようで、思わず噴き出してしまった。

 念のため、言っておくが、私たち夫婦は、安全運転を第一と考えている。


 帰りは、北軽井沢から軽井沢までを私が、軽井沢から藤岡までを夫が、藤岡から高坂までを私が、高坂から自宅までを夫が運転した。

こんなに頻繁に運転を交代したのは、関越自動車道が渋滞したためである。2時に北軽井沢を出発したのに、自宅に到着したのは、8時過ぎであった。

今週末もまたしても、充実した日々を送ってしまった。

関越自動車道では、車が流れ出してから、プジョーのオープンカーが、安全運転をしていた私たちを抜かす際、挨拶をしていった。

今まで知らなかった世界がまた一つ広がることは、楽しみでもあり、ちょっと不安でもある。