3月23日(水) 計画停電

 今日も仕事が忙しく、ストレスだらけの一日だった。が、嬉しいことも一つあった。

地震以来、お休みしていた同僚が、久しぶりに出勤してきた。地震当日、夜遅くまで職場待機になってしまった彼女である。

元気そうで何より、と久しぶりの再会を喜び合った。

彼女の自宅は、東京都下のK市にあるのだが、東京電力計画停電地域に指定され、実際に毎日3時間程度の停電があるそうだ。

どんな感じか聞くと、夜に停電がある時は、一言でいえば、「山奥にいるよう」だと言う。

つまり、車を運転していると、信号機は消えているのは勿論のこと、街灯すらも点いていないので、真っ暗闇だと言う。

 家の中では、一人一つずつ、懐中電灯を持っての移動だそうだ。懐中電灯は、関東地方では不足気味なので、関西のお友達から送ってもらったらしい。

 照明器具に付いている紐に、ご主人が小さな懐中電灯を結んでくれて、助かったとも言っていた。

 最初は、停電中にお風呂にでも入ろうかと思ったが、ガス風呂だとしても、風呂給湯器自体は電気で動いているので、停電中は入れない。

 石油ファンヒーターも、今はそのほとんどが、電気を動力にしているので、停電中は稼働しない。彼女の家には、幸い、電池式の石油ファンヒーターがあって、何とか寒さは凌げたそうだ。

 「オール電化」にしないまでも、電気は私たちの生活の、あらゆる所で不可欠になっているということが分かる。

 計画停電は今後も続く。それもそのはず、福島原発は、永久に稼働しないのだから。

 私たちも、真剣に節電を考える時が来た。

 電気が供給される限り、節電しなくてはと思っていても、なかなかスイッチは切れない。真夏の暑い日に、クーラーのスイッチを自ら切るのは、至難の業である。

 であれば、物理的に電気の供給を断つしかない。

例えば、契約アンペアを強制的に下げてみる。我が家など、子どもたちが成長して、個室にいる時間が増えたので、新築時に40Aだった契約を、現在50Aに上げている。

 それでも、冷暖房の季節は、ブレーカーが落ちることがあるのだから、節電とは程遠い生活を、今までは送って来た。

 これからの時代は、そうも言っていられないだろう。強制的に40A、可能ならば30Aに下げると言うのはいかがだろう。

 また、東京電力が被災者の補償を行うので、当然その分は、電気料金値上げという形で、我々消費者に跳ね返ってくる。

 電気料金が値上がりすれば、節電のインセンティブとなるはずだ。

 今回の、東京電力福島原発の事故は、乱暴な言い方をすれば、日本をぶっ壊してしまった。

きっと、これからの日本人の考え方、生き方を変えてしまう、そんな一大事だと思う。

今まで普通だと思っていたことが、普通でなくなってしまうのだから。

電車は、1分と違わずに来るものだと思っていたのが、そうではなくなった。

今日も、金町浄水場で放射性ヨウ素が検出されたとの報道があった。

水は、蛇口をひねれば使えるものだったのが、買うものになるかもしれない。

ある意味、日本の今までが、生活の水準が高すぎたのかもしれない。

日本を捨てて外国に移り住む勇気がない限り、「日本丸」に乗り続ける限り、この国と運命共同体である。

 戦争でもなく、革命でもなく、まさか、一民間企業である東京電力に、国をぶっ壊されるとは思ってもいなかったが、これが真実である。

 生真面目な日本人の価値観が、今後大きく変わるかもしれないが、今の若者たちは、案外、スムーズにそれを受け入れるかもしれない、と、ふと思ったりもした。