11月26日(土) 京都旅行1日目

この日、私は夫と共に、東京駅7時発のぞみ203号で京都に向かった。夫の学会出張に、初めて同行することになったのだ。

 娘が同時期に、奈良・京都に修学旅行に行くことが分かり、娘がいないのならと、私は月曜日に休みを取って、2泊3日の旅行となった。

 京都駅には、定刻の9時21分に到着。荷物を駅構内にある、ホテルのウェルカムカウンターに預け、夫は地下鉄烏丸線で、学会が開催される大学へ、私はJR嵯峨野線で、太秦に向かった。

 私にとっては、高校の修学旅行、仕事で一回、新婚時代に一度訪れて以来、20年ぶり4回目の京都である。

 嵯峨野線は嵐山方面に向かう観光客で、ラッシュ並の混雑ぶりだった。太秦で降りる乗客は、少なかった上に、そのほとんどが、東映太秦映画村に向かった。

 私は、“太秦と言えば、広隆寺でしょう”と思ったが、私自身も広隆寺を訪ねるのは、実は生まれて初めてで、教科書でお馴染みの「弥勒菩薩半跏思惟像」(国宝)に会えるのを、楽しみにして行った。

 広隆寺は、紅葉の名所ではないので、境内は空いていた。霊宝殿内の「弥勒菩薩半跏思惟像」とゆっくり対面し満足。

 広隆寺を後にして、徒歩で妙心寺に向かう。40分近くかかってしまったので、後から思えば、ここはタクシーだったな、ということになる。

 妙心寺では、先ず「退蔵院」を拝観した。余香院の紅葉が見事だった。「退蔵院」は如拙瓢鮎図」(国宝)を所蔵しているが、実物は京都国立博物館に寄託されているとの事で、模本しかなかった。

 次に、「法堂」を拝観した。天井に描かれている狩野探幽雲龍図」は、別名“八方にらみの龍”と呼ばれ、どこから眺めても、眼が合うように描かれている。一見の価値あり。

 次は「大法院」。こちらで、抹茶と茶菓を頂きながら、“露地庭園”を眺める。露地とは、茶室に付随するお庭のことである。

 最後は、春日局菩提寺「麟祥院」。春日局の木像が祀られている御霊屋は、御所にあった建物を移築したもので、立派であった。

 徳川家光から賜った「百椿図屏風」は、女性らしく可憐であった。

 2時間近く滞在した妙心寺から、徒歩で仁和寺へ。ここへは10分程で到着。仁和寺は、春の御室桜が有名だが、紅葉も美しかった。

 境内を一廻りしてから、龍安寺へ向かう。ここも徒歩10分。龍安寺は修学旅行で来て、石庭の印象ばかりが残っていたが、実は、鏡容池と呼ばれる藤原実能の山荘の遺構も素晴らしく、今回はゆっくり寺内を散歩出来た。 更に20分歩いて金閣寺へ。15時20分ころ到着したが、傾き始めた太陽に照らされて、きらきら光り輝く光景は、観るのも眩しい位だった(写真)。

 裏に回って後ろから眺めたりもした。紅葉も見頃だったが、人の多さには辟易してしまった。(私もその中の一人だけど)

 さて、16時なってしまった。ここで終わりにするか、大徳寺まで回るか迷ったが、バスがちょうど来たので乗ることにして、大徳寺を目指した。

 大徳寺へは、やはり修学旅行で来たが、お昼に食べた鉄鉢料理しか記憶になかった。1時間弱で、「瑞峯院」「龍源院」「大仙院」を回った。

 禅寺らしく、どこも枯山水のお庭が素晴らしかった。「瑞峯院」はキリシタン大名大友宗麟菩提寺として創建したことから、方丈裏の“閑眠庭”は、7個の石が大きな十字架を形作っているのが特徴(写真)。枯山水の“独座庭”も素晴らしかった。

 「龍源院」は“竜吟亭”や“一枝坦”、坪庭の“東滴壺”が有名。

 最後に「大仙院」を訪ねた。先代住職の尾関宗園さんから、直接お話しを聴くことが出来たのは、ラッキーだった。ついでに、サインまで頂いてしまった。

 “気は長く心は丸く腹立てず口慎めば命長し”もしくは、“気は長く心は丸く腹立てず人大きく己小さく”などの禅語を覚えられたことは、私にとって大きな収穫となった。

 5時に「大徳寺」を出て、徒歩で北大路駅を目指す。20分ほどで着いた。夫とは、五条駅に18時30分の待ち合わせだったので、駅ビル内を散策し、頃合いを見て五条駅に向かった。

 同じ電車の違う車両に乗っていたらしく、改札口には、ほぼ同時に到着した。

 なぜ五条駅かと言えば、清水寺が夜の拝観をやっているからだ。ゆっくり30分かけて歩いた。途中、弁慶の五条大橋(現松原橋)、お茶屋さん街、六波羅蜜寺を通った。

 清水寺、三年坂(産寧坂)を上って清水寺へ。紅葉はしていたものの、少し早目だったかもしれない。何しろ、今年の京都の秋は暖かいらしい。

 確かに、私も、オーバーコートを脱いで歩くことも多かった。

 夕食は、三年坂の西尾で、京風ラーメンを食べた。宿泊先の「グランドプリンスホテル京都」までは、来た道を戻って、五条駅から烏丸線で国際会館まで行った。

 チェックインをして部屋に入り、付けていた万歩計を見たら、なんと、3万歩以上歩いていた。ビールで乾杯し、お風呂で疲れを癒し、翌日に備えた。

 それにしても、こんなに歩いたのは、さすがの私でも初めてかもしれない(笑)

 人任せにせず、自分で調べ、自分の足で歩いたので、とても印象深く、今度は夫を案内してあげることになった。

 何年先になるか分からないが、きっと、また来よう!