11月28日(月) 京都旅行3日目

 いよいよこの日は、京都旅行最終日。洋食バイキングの朝食を取り、荷物は夕方、京都駅構内のウェルカムカウンターで受け取る手配をして、9時過ぎにチェックアウトした。

 せっかく宝が池に宿泊したのだから、と宝が池を散策することにした。灌漑用水用に江戸時代に作られた溜池だが、話を聞いた地元の人は、自然池と勘違いしていた。

 池の周囲は山で囲まれており、その内の二つで、五山送り火の「妙」「法」が焚かれる。

 昨日見た嵐山より紅葉が進んでおり、何とも言えず美しかった。池の周りをウォーキングする人や、三脚付きのカメラを構えつつ、バードウォッチングをする人もいた。

 ここには、観光地京都では見られない、京都の人々の生活があった。ホテルを1カ月前になって予約したため、選ぶ余地がなく、たまたま宝が池のプリンスホテルに決まったのだったが、中心地では見られない光景を目にすることができて、却って良かった。

 さて、1時間近く散策してから、国際会館駅のバスターミナルから、永観堂を通るバスに乗車した。20分ほどで到着。

 永観堂もまた、東福寺と並んで、紅葉の名所である(写真)。拝観料が千円と、今回の旅行中一番高かったが、紅葉の他にも、「見返り阿弥陀」の呼び名で知られる本尊の阿弥陀如来像は、首を左にかしげ振り向いてる、珍しい阿弥陀様だった。

 念仏修行中の永観を振り返って、「永観おそし」と呼びかけた姿を留めたものと伝わる。遅れる者を待つ姿勢、思いやり深くまわりをみつめる姿勢、そして自分自身をかえりみ、人々とともに正しく前へ進む姿勢を教えているとも言われる。

 何だか、観ていて、とても心温まる阿弥陀様だった。もちろん、紅葉も見頃で、東福寺に次いで、旅行中ナンバー2だった。

 永観堂を後にして、お隣の南禅寺に向かった。南禅寺には修学旅行で来ていて、大きな三門と、お昼に湯どうふを食べたことは覚えていた。

 ところが、境内にある琵琶湖疎水の一部である「水路閣」(写真)は見た記憶がなく、何とも片手落ちだったと言える。

 「水路閣」前は、もともと杉や桧などの常緑樹の原生林だったものを、庭師が後世の人々に愛でられる風景を造りたいという思いから、紅葉を植林したものであると、先日観たテレビ番組で紹介していた。

 そんな話を聞いていたので、なおさら、その風景に感動した。

 南禅寺から、次の目的地である知恩院に向かう途中、蹴上にある「インクライン」と呼ばれる傾斜鉄道跡(写真)は、線路の上を歩けるようになっていて楽しかった。

 高低差のある蹴上と、南禅寺の舟だまりを結ぶ傾斜地に線路を敷き、船を線路上の船台に乗せて運行していたという。船が山を登る姿は、想像しただけで可笑しい。

 知恩院は拝観料なしの太っ腹の寺院だった。除夜の鐘でお馴染みの大鐘は約70トン、16人でつくと言う。知恩院に伝わる「七不思議」のうち、左甚五郎の「忘れ傘」、「鴬張りの廊下」を見た。

 その他にも、御影堂の屋根に残る瓦(建築途中を示す)と、同じく扉の錠に施されたかっぱと亀の装飾(火の元を確認せよの意か?)を見つけられた。

 ちょっとした探検をしたようで、ここも楽しかった。

 知恩院から円山公園を抜けて高台寺へ行った。ここは、豊臣秀吉没後、その菩提を弔うために、正室であるねねが開創したお寺である。

 ねねの廟所である御霊屋は、“高台寺蒔絵”と称される蒔絵で装飾されており、見事であった。

 続いて裏手のある京都霊山護国神社にある、坂本龍馬中岡慎太郎木戸孝允のお墓をお参りした。

 さて、16時半を過ぎたので、タクシーで移動しようと一旦は乗り込んだが、東大路通に下りる道は渋滞で、一向に動く気配がなかったので、料金を支払い降りた。

 三年坂でお土産でも買おうと路地に入ったら、そこは八坂の塔に通じていた。偽舞妓さんがカメラマンを連れて、写真撮影をしていた。

 偽舞妓さんとは、舞妓さんの衣装をレンタルして、着付け・メイク・ヘアメイクをして、スタジオ撮影をしてくれるという商売があるのだ。おまけに、追加料金さえ支払えば、カメラマンが同行し、外で撮影もしてくれるのだ。

 時間は1時間と短いが、若い人や外人さんにも人気があるらしい。私は、「娘に見せたいので」と言って、パンフレットをもらったが、実は、機会があったら、自分がやってみようかと思っている。

 かなり辛いものがありそうだが、旅の恥はかき捨てと言うし・・・。

 三年坂で清水焼の夫婦湯呑と、家族それぞれに扇子を買い求めた。いい思い出になる。

 さて、17時も回ったので、京都駅に向かった。なかなかタクシーが捉まらず、結局京阪五条駅まで歩いて、そこでようやく乗車することが出来た。

 18時に間に合い、駅構内で生八橋や漬物のお土産を追加で買った。お弁当を買おうと思ったら、どこの売店も完売。

 仕方なく、ビールとおつまみだけ買って、20時16分発のぞみ58号で帰路に着いた。東京駅には、22時33分に着いた。

 2泊3日の京都旅行は終わった。楽しい思い出を胸に、翌日から仕事、仕事。